ストレス反応と自律神経失調症

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《自律神経失調症》

 自律神経失調症は、図のように大きく3つのパターンに
分類できると思います。

 タイプAは、交感神経が極度に亢進しているタイプで、
いわゆる自律神経失調症の中では一番多くみられます。
驚き・怒り・恐怖・不安・緊張・頑張りすぎ・闘争・ガマン
などの感情・性格と相性が良く、
不眠・PTSD・パニック状態・便秘・消化不良・食欲不振・
不妊症・ED・性欲減退・高血圧・糖尿病・炎症・
易感染・
慢性痛などの症状が現れます。
 改善させるにはリラックスが重要で、交感神経の活動を抑える
漢方薬だけでなく、呼吸法や自律訓練法や筋弛緩法を用います。

 タイプBは、交感神経と副交感神経がバラバラに働いている
タイプです。
持続的な不安・緊張・怒り・
興奮などにより現れてきます。
自律神経バランスの失調・アレルギー疾患・自己免疫疾患でみられます。
このタイプの改善には、生活リズムの安定と休息・睡眠が重要です。

 タイプCは、長期にわたる疲弊により交感神経と副交感神経の
働きが抑制された状態です。
ストレス社会の現代では、増加しているタイプでしょう。
失望・抑うつ・悲哀・憂愁・疲弊状態などによって
容易にこのタイプになります。
心のエネルギー低下・アパシー・慢性疲労・起立性調節障害などの
症状を訴え、
東洋医学でいう「気虚」に相当します。
このタイプも改善には、休息・睡眠が重要ですが、無理のない範囲で
生活のメリハリをつけることは更に重要です。


 自律神経失調症という名称は、私ら医療人も一般の方も安易に
使用されている感があります。
治りにくい病気の代名詞的な使い方をされるほど、定着しています。
しかし、大多数の方が漢方薬や
栄養剤などで症状は安定しますし、
〈自律訓練法〉はじめ〈マインドフルネス〉や〈筋弛緩法〉
〈呼吸法〉
などにより薬の減量・ゼロ化も充分目指せます。

 自律神経失調症は、大きく「興奮型」「不安定型」「機能低下型」に
タイプ分類できます。
当然のことながら、タイプごとに適切な解消法がありますが、
生活リズムを一定に保ったり、ゆっくりと呼吸すること
などは、
どのタイプにも共通します。

 近年注目されているポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)では、
自律神経系を3つに分け、意識的に
働かせることのできる
腹側迷走神経複合体で、自律神経の安定やコントロールを図ると考えます。
腹側迷走神経複合体の活動が低下すると、動悸・パニックなど
自律神経失調症状が現れやすくなるため、
比較的コントロールしやすい
生活リズムや呼吸はやはり重要なのです。

 ですから私は、ポリヴェーガル理論とともに、〈マインドフルネス〉や
〈ヨガ〉の効果にも注目しています。

 1日のリズム、1月のリズム、1年のリズムに沿ったメリハリのある
規則的な生活で体内時計を意識することは、
タイプB、タイプCの方に
おススメです。

 ぬるめのお風呂にゆったりつかったり、心地よい音楽を聴くなどの
リラックス法は、タイプA、タイプBに
向く方法といえます。

 〈自律訓練法〉〈マインドフルネス〉は、どのタイプの
自律神経失調症にもおススメします。
どちらも、精神面が安定して、過剰な防衛反応を抑制し、
身体感覚(内臓感覚などの内受容感覚)を
取り戻していく
トレーニングの側面を持ちます。

 他にも、温浴と冷水浴を交互に繰り返す〈温冷交替刺激法〉や
〈行動活性化〉などがあり、タイプに
合わせておススメしています。