不定愁訴・MUS

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《不定愁訴》
 不定愁訴は、心身医学用語事典(第3版)によると、次のように
定義されます。
「全身倦怠感、下肢倦怠感、易疲労性、頭重、動悸、息切れ、
手足のしびれ感、食欲不振、胃もたれ、
腹部不快感など、
漠然とした身体的愁訴で、しかもそれに見合うだけの器質的疾患の
裏付けがない
場合に、これらの愁訴を不定愁訴と呼ぶ(阿部.1962)」
また、国際的な類似表現として、MUS、FSS、SSD、
BDD(身体苦痛症)などが呼称として用いられます。

 いずれにしても、多彩な身体症状を決定づけるような検査所見が
見当たらないという特徴があります。
その結果、「異常ありません」「気のせいです」「精神科か
心療内科を紹介します」「自律神経失調症です」
などと言われています。
当然ながら、通常の医学的アプローチだけではうまくいかないことが
多いとされているため、
いわゆるドクターショッピングを繰り返したり、
頻回に検査するなど、医療資源や保険財政の点だけでなく、通院や
検査に要する時間の消費や精神的な苦痛など多くの面で問題とされています。

 けれども、通常の医学診断の枠に当てはまらないだけで、
本人が苦しんでいることに変わりはありません。
一方、見る角度を変えれば「心身症」の定義と重なる部分も多く、
心身医学的視点が症状改善に重要となる
ことは間違いないのです。
同様に、東洋医学的視点から症状解消の突破口が見つかることも
少なくありません。

 私は、30年以上の相談経験から、不定愁訴を次の方程式の
ように理解しています。
  不定愁訴の症状・強さ=
    もともとの脆弱性(加齢、過敏性など)+
    身体的要因+心理・社会的要因

 つまり、身体的要因に対しては漢方薬を中心に、
心理・社会的要因に対しては心理療法やカウンセリングを
用い、
さらには人生経験も加えたストレスの総合相談で、不定愁訴は
小さくなってゆくのです。