不妊症の考え方・漢方薬プラスαの対処法
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私が漢方医学・漢方薬を基本から学んだ寺師睦宗先生は、
不妊症の漢方相談を専門とし、銀座玄和堂診療所には全国から
相談者が訪れていました。
寺師睦宗先生の漢方薬の使い方を間近で見て学んだことが、
現在の私の基本です。
不妊症相談では、学んだことを活かし多くのカップルに喜んで
頂いてます。
不妊症と妊娠中そして産後の体調管理まで
自然な妊娠を望む方・いろいろな治療を受けた方・
男性不妊で悩む方・妊娠期を 順調に過ごしたい方・・・に
母体づくり
漢方での不妊相談は、子宮・卵巣を赤ちゃんのできやすい
(妊娠しやすい)環境にすること。
すなわち母体づくりです。
月経不順(生理不順)や生理痛・月経困難症、子宮内膜症・
子宮腺筋症、卵巣嚢腫、多嚢胞性卵巣、
などがあれば、
これらの改善が母体づくりのスタートになります。
その結果、基礎体温も安定し、受精・妊娠にふさわしい
身体に仕上がります。
色白で疲れやすい人は、血虚や気虚を改善すること。
肥満気味の人なら、体重を減らし、瘀血をなくすこと。
体内に余分な水分の多い人は、水分代謝をよくすること。
胃腸が弱く体重の少ない人は、胃腸を元気にし、
お腹をふっくらさせ、子宮・卵巣に栄養をつけること。
冷えの強い人は温かい子宮・卵巣を作り、本来のホルモン
バランスにしていくこと。
「卵子の老化」が進んでいる人は、腎虚を改善して卵子の
若返りを図ること。
このような母体づくりをしないで西洋医学的治療(ホルモン治療・
人工授精・体外受精等)を試みても、
妊娠するのは難しいと
恩師である寺師睦宗先生は考えていました。
漢方薬で母体づくりに取り組むと、人工授精や体外受精の成功率が
高まるようです。
漢方で考える不妊の原因
1)冷え
冷えは、体の本来の機能を低下させます。冷えた下半身を
通った血液は、子宮・卵巣を冷やしながら心臓に戻ります。
子宮・卵巣が冷えると、生殖機能はさらに低下することになります。
2)腎虚(じんきょ)
腎虚とは、不妊に関していえば、生殖機能が低下している状態です。
女性では卵巣機能不全・黄体機能不全など、男性では精子減少症、
精力減退などをいいます。
「卵子の老化」は、35歳以上では深刻な問題で、
漢方薬だけで
頑張るよりも、ビタミン剤などで
卵子の細胞膜を柔軟にすると
良い印象があります。
45歳で自然妊娠した例もあり、「卵子の老化」対策の
一方法と考えます。補陽・補腎作用のある漢方薬と抗老化剤の
併用をおススメします。
3)瘀血(おけつ)
瘀血とは滞ったり老廃物で汚れている血液のこと。
その汚れをきれいにし、サラサラと流れる血液にするイメージです。
瘀血が溜まると、体の様々な機能に悪い影響を及ぼします。
女性の子宮・卵巣は瘀血の影響を受けやすいところで、
排卵障害や生理不順、生理痛などを起こし、人によっては子宮筋腫・
卵巣のう腫・子宮内膜症など不妊の原因にもなります。
4)血虚(けっきょ)
血虚では、血の働きの低下により、身体は貧弱になり生殖器系の
機能も弱まります。
妊活をする女性は月経があるため、程度の差はあれ血虚が存在します。
瘀血と同じく、種々のトラブルの原因となるので注意が必要です。
5)脾胃虚弱(胃腸虚弱)
食物から栄養を吸収し全身に送り届ける要所が「脾胃」です。
脾胃虚弱では、冷え症や血虚になりやすく、治療効果も上がりません。
不妊相談の3~5人に1人は、脾胃の建て直しで妊娠しています。
6)肥満
肥満は、瘀血が生じやすく腎虚の原因にもなります。
現代医学的にも、生殖能力の低下が報告され、妊活に悪影響を及ぼします。
漢方薬を使いながら、生活習慣の改善に取り組みましょう。
寺師睦宗先生の子宮苗床論
苗床には、適度な肥料と水分、そして温かさがなければ種子は発育しません。
水分が多すぎれば、いくらよい種子を蒔いても根腐れして流されてしまいます。
同じように、子宮内膜も適度な栄養(血液)、適度な水分、太陽のような
温かさが
受精卵には必要なのです。
受精卵が根をおろし、育つ環境づくりが重要だと考えているのです。
不妊の原因の1つ「卵子の老化・精子の老化」
卵子の老化・精子の老化とは、卵子・精子の酸化をさし、
「生殖細胞の活動エネルギーが低下」した状態です。
卵子・精子の老化(酸化)は受精確率を下げ、妊娠する事が難しくなります。
また、酸化によるダメージを軽減することは、遺伝子異常の割合を
低下させることにもつながります。
サプリメントによる基礎的な抗酸化に加え、色の鮮やかな旬の野菜や
フルーツの摂取がおススメです。
卵子の老化を遅らせるため、抗酸化力を高めることが大切です。
(卵子のアンチエイジング)
症例
二人目の不妊 20代女性
一人目は自然妊娠したが、二人目が出来ない。人工授精も19回やった。
冷え症で寒がり、しもやけが出来やすい。
まず温める漢方薬を飲んでもらい、それから栄養をつける漢方薬とした。
7ヵ月後、めでたく妊娠。
#母体が調っていなければ人工授精をしても妊娠しにくい例です。
仮に妊娠しても流産していたかもしれません。