睡眠リズム障害に柴胡剤+駆瘀血剤

 毎週土曜日の深夜、テレビ朝日系で放送されているドラマ「モコミ」。祖父
役の橋爪功のセリフに感心させられます。引きこもっていた過去に話題が及べば
「本当に何もしてなかったのか?」とか、「普通の人・・・」という会話には
「普通って何だ?」と疑問を投げかけて、固定観念を崩そうとしています。

 ただ、何でもかんでも固定観念を崩そうとすれば変人・天邪鬼でしかない
ですね。大事なのは、固定観念を維持してもいいし縛られなくてもいいという
スタンスかなと思うのです。その辺りをさりげなく投げかけることが心理的な
セラピー効果を生んでいるように思え、欠かさず見ています。

 ところで、引きこもりの人の多くは睡眠リズムが乱れているのではないで
しょうか。引きこもりではなくても、不登校や適応障害の人の中にも、また
健全と思われる若い青少年にも、睡眠リズムが崩れ体調が悪化している人が
一定割合いると考えられます。

 その治療法は、メラトニン作動薬を補助的に使用しながら、睡眠リズムを
修正していく睡眠スケジュール法などが中心です。私も、その視点から日光
を浴びることの重要性を話したり、朝食摂取を呼び掛けたりしています。
あくまでも睡眠スケジュール法などの行動療法がメインであり、薬物療法は
補助でしかないとの考えです。

 ところが今月の「漢方の臨床 2021;68(3)」の座談会記事で、佐藤田實
氏が睡眠相後退症候群(睡眠リズム障害の一つ)に対し柴胡剤+駆瘀血剤の
有効性を報告しているのを読み、考え方を改めました。もちろん行動療法を
否定しているわけではありません。治療法の選択肢が増えたということです。

 私は基本的に、少ない薬で済ませたいと考えており、食事や運動、心理的
アプローチ、リハビリや行動療法などを重視してきました。利益にはなり
ませんが、理想だと考えています。しかし一方で、これらの方法は、ある
程度のモチベーションを必要としますので、万人向けではないのです。

 選択肢が増えたことで、私の今までの固定観念が崩れたわけです。
「~~しかない」は「~~すべきだ」となり、相手を追い込むことになります。
「AもあるしBもCもある」となれば、気楽に取り組めるのではないかと思う
のです。

 いずれにしても睡眠リズム障害の多くは睡眠相後退症候群だと思われます。
その治療法が増えることで、一部の不登校や引きこもりの人たちも症状改善に
つながるものと考えます。


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