梅雨時は、関節痛が悪化しやすいと言われ、実際にそのことを実証した
研究があります。エビデンスがすべてではありませんし、場合によっては
正反対のエビデンスさえあります。でも、エビデンスがあれば、一般的な
方向性を示すことができるという点で重要です。
ところが漢方薬の効果については、良質のエビデンスは多くありません。
ベテランの漢方家なら、かなりの効果を上げていても、一般化するのが
難しいためです。それでも多くの人は、エビデンスにかかわらず漢方薬の
効果を信じています。私も、その一人です。
だから、漢方相談を受けたときにエビデンスがないという理由で相談を
断ることはあり得ません。
では、サプリメントについて考えてみます。膝の痛みにグルコサミンや
コンドロイチンを飲んでいる人(以前飲んでいた人)は相当数います。
エビデンスに関しては、効く・効かないのどちらも存在します。ただ、
多くの整形外科医は、積極的に推奨はしないようです。つまり、その程度
のエビデンスだということです。
最近(Roman-Blas JA. et al. Arthritis Rheumatol.2017)も
プラセボ(偽薬)との差がないと報告がありました。これを見たときに
私はグルコサミンやコンドロイチンを推奨したら、倫理に反するのでは
ないかとの疑問がわきました。
エビデンスという点では、漢方薬と大差ないと思います。漢方薬なら
どちらかというと積極的に推奨しますが、グルコサミンなどの推奨だと
悩みます。欲しい人には、医療上の問題がなければ販売します。ただし、
数か月後には効果を見て継続の可否を判断します。
そして、「膝が痛い」という人に、こちらからグルコサミンなどを
提案することは恐らくないでしょう。「これから正義の話をしよう」の
サンデル教授のパクリではありませんが、私は「倫理上、正義か?」と
自問自答しながら、最新のガイドラインやエビデンスを参考にして、
《時には売らない!》という提案をしていくでしょう。
最近、漠然と考えていることを、膝の痛みをテーマに述べてみました。
科学と哲学、希望と現実、一人一人のケースごとに悩みながら、ベストを
目指しつつもベターな提案をしてゆきたいと思います。
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薬剤師・心理カウンセラー(公認心理師) 廣橋 義和
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