感染症の専門家で神戸大学大学院教授・岩田健太郎先生の「なぜ?何?
どうして?と5回くらい突き詰めると、事の本質が浮かんできやすい」と
いう記事を見たことがあります。
パニック発作を例に考えてみます。
〈なぜ、パニック発作になったの?〉「ストレスを感じた」
〈何が、ストレスに?〉「クレームの電話対応が苦手で・・・」
〈クレームを受けると、どうなるの?〉「焦って、頭が真っ白に」
〈その時、どんなことを考えているんだろう〉「怒ったら、どうしようかと」
・・・・
これは、認知(行動)療法的なやりとりになります。
〈パニック発作は、どんな感じ?〉「ドキドキして、呼吸が速くなって・・」
〈なぜ、速くなるんだろう?〉「深く息が吸えないからかなぁ」
〈どうして深く吸えないの?〉「いつの間にか下を向いているかも」
〈どうして下を向くのかな?〉「そういえば、いつも姿勢が悪いと言われる」
〈なぜ、姿勢が悪くなったんだろう?〉「メガネが合わないからかも」
・・・・
こんなやりとりだと、メガネを買い替える、姿勢を意識して改善する、などの
行動療法的になります。
どちらが正しいのでも、間違っているのでもありません。いろいろな方法が
深掘りすることで浮かんできます。その中でアプローチしやすいものを試せば
いいのではないでしょうか。
名前は失念しましたが、ある呼吸器科医が「姿勢を正して、ゆっくりと呼吸
していると、パニック発作を起こしにくくなる」と以前ラジオで聞いたことが
あります。
姿勢が悪い ⇒ 呼吸が浅くなる(1回の換気量が少ない) ⇒ 呼吸が
速くなる(少ない換気量を回数でカバーする) ⇒ 交感神経が活発に働く
⇒(闘争反応として) 心臓も拍動を増やす ⇒ ドキドキを感じる
⇒(逃走反応として) 焦りが生じる ⇒ パニック状態になる
上記の流れが考えられるとのことです。確かに、若い女性にパニック発作が
多いことを考えれば、肩幅が狭いから1回の換気量は男性より少ないし、
スマホ使用や視力の低下など若い人ならではの現状も納得できます。
その呼吸器科医は「呼吸法」を指導していましたが、私は姿勢や肩こりの
改善も重要だと考えアドバイスしています。もちろん、必要な場合は薬
(漢方薬をおススメします)も使いますが、パニック発作の本質が姿勢なら
姿勢・肩こり・呼吸の関連を理解してもらうことで、効果もアップします。
長年のクセを改善するのは難しいと思いますが、思い出したときに意識
することが重要なのではないでしょうか。スポーツをすることで、ヨガを
学ぶ過程で、あるいは茶道にふれた時に、クセが改善することもあるだろう
と考えます。
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薬剤師・心理カウンセラー(公認心理師) 廣橋 義和
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