病は口から、健康も口から

 「口は禍の元」というけれど、病気の元でもあり、健康の元
でもあるという話。このテーマになった発端は、不妊相談にきて
いるAさんが医師からラクトバチルス属の乳酸菌がいいとの話を
教えてくれたことからです。

 ということでラクトバチルスで検索したら、確かに妊娠に良い
らしいのです。
(Cicinelli E et al. Reprod Sci. 2014 May;21(5)など)

 理屈は次の通り。女性の膣や子宮は無菌状態ではなく、粘膜を
傷害する悪玉菌もいれば、悪玉菌を阻止する善玉菌もいます。
悪玉菌の一部は子宮内膜炎を引き起こし不妊症の一因になると
されます。そこでラクトバチルス属乳酸菌が優勢ならば不妊症に
つながる子宮内膜炎も起こらないので妊娠しやすくなるのです。

 なにやら「風が吹けば桶屋が儲かる」式の展開ですけれど、
腹が張りやすい人、ガスの臭いが強い人、膀胱炎になりやすい人
などは効果が期待できるように思います。

 ただ、この内容で思い出したことがあります。15年位前に
参加した漢方勉強会で、隣に座った医師から「勤務先の産科病棟
では、妊婦にブラッシング指導をしてから早産が減った」という
話を聞いたのです。

 今や、歯周病や虫歯が生活習慣病の一因とのことは常識と言え
ますが、口腔衛生といろいろな病気は結構関係が深いようです。
高齢者の肺炎予防にもブラッシングは重視されてますよね。

 ところで、ラクトバチルス属といっても200種以上の乳酸菌
が認められていて、大切なのは特定の菌種だけを摂取したり、
増やしたりするのではなく、多様性が重要なのです。そのために
いろんな種類の食物を食べることが大事だと考えます。

 死語となった「1日30品目」ですが、「1週間30品目」が
達成できてない人は、食事が偏っているかもしれません。
ビタミン・ミネラルの補給源としての野菜や海藻、たんぱく源は
肉類のほか魚や卵や大豆など、食物繊維は野菜や海藻やキノコに
加えて炭水化物からも多く摂れます。

 健康な身体作りとしての栄養も極端に多かったり少なかったり
すれば、病気の原因にもなります。食事から楽しみを奪うほど
厳密にする必要はありませんが、楽しみつつも健康を意識した
緩やかな食品摂取を続けたらいいと考えています。


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