腎臓寿命を意識しよう

 薬局でのセミナー開催に備えて、資料を準備していて
腎臓の寿命について考えていました。
腎臓の寿命が尽きる時とは一般的に人工透析を導入する
時です。

 色々な相談の流れの中で、直接あるいは間接に腎臓の
相談を受けます。透析導入間近になって透析導入を
遅らせたいと相談される方も少なくありませんが、腎機能
の余力がほとんど残ってない状態では、期待に応えられ
ません。

 15年くらい前からでしょうか、慢性腎臓病(CKD)
という概念が提唱されました。腎臓は糸球体という組織で
血液を濾過します。腎機能が低下すると糸球体での濾過の
効率が悪くなります。

 この濾過の効率はGFRで表しますが、クレアチニンや
年齢などから計算した推定値を一般的には用いているので
eGFRで表すのが多いです。この数値が60を下回ると
慢性腎臓病(CKD)という病名がつきます。

 年齢や基礎疾患によりますが、GFRは毎年1~2ずつ
低下します。例えば60歳の時点でGFRが60だった
場合、80歳の時点ではGFRは計算上20~40になり
ますから、ギリギリ透析導入は免れることでしょう。

 ただ、高血圧や糖尿病ではGFRの低下速度はもっと
早くなります。コントロールが悪かったり、たんぱく尿が
認められれば、さらに低下速度は加速します。
ですから、まず基礎疾患の治療をきちんとするのが一番の
基本です。

 腎臓は貧血や虚血(血流低下や脱水など)に弱い臓器
です。なので基礎疾患の治療をサポートするために、
血流を促進する漢方薬や栄養剤やサプリメントを組み
合わせます。劇的な改善はほとんどありませんが、それが
現実です。

 ですから、健康診断では腎臓の寿命を意識して、早めに
相談してもらいたいと思うのです。早い段階なら打てる
有効な対策があるのですから。


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 薬剤師・公認心理師・スクールカウンセラー  廣橋 義和

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