ストレスで30代にして生理が止まった(閉経した)女性と
かなり以前に会話したことがあります。その時はストレスとは
思っても、トラウマとまでは考えませんでした。
トラウマは、阪神淡路大震災や東日本大震災などの大災害で
クローズアップされるように、命にかかわるような大きな
出来事(災害や事故など)を体験した人を襲います。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)というと、どうしても
精神的な部分が強調されますが、ストレス障害ですので、心も
身体も影響を受けています。
今年も新年早々、能登半島を地震が襲いました。一般的に
災害後1~2週間経つとメンタルの不調が目立ってくるとされ
ます。その頃からでしょうか、日本トラウマティック・ストレス
学会もASD(急性トラウマ障害)対策やPTSD予防にむけて
情報発信を行っています。
大災害や大事故とセットで使われることが多いトラウマですが、
日常生活の何気ない出来事の中にも潜んでいると考えるように
なっているということを、以前トラウマの専門家から聞きました。
学術的な定義とはズレるかもしれませんが、一般の方が普段の
会話の中で「トラウマになっている」という使い方をするように
拡大使用されていても、それはそれで正しいようです。
同じようなストレスでも、軽いストレスで済む方もいれば、
トラウマと呼ぶのが相応しいくらい大きなダメージを与えるものも
あります。冒頭の生理が止まった女性は「ストレス」という言葉
よりも「トラウマ」と呼んだ方が良かったのかもしれません。
ここで、敢えて、「トラウマ」にこだわるのは、トラウマなら
トラウマに対する専門的な治療が必要だと考えるからです。
このトラウマ処理を行わないで小手先で治療しても、それは
対症療法に過ぎないと考えるからです。
ひょっとしたら生理も回復したのではとも思います。その女性は
お子さんもいて、会話したときは40代後半だったと思うのですが
未婚だったり妊活中なら、人生設計にも狂いが生じます。
ストレスは、身体ではバランス系の自律神経系やホルモン系や
免疫系を乱します。トラウマは乱し方が強力なのですから、
そのつもりで取りかかる必要があると考えます。
治りにくい病気の陰に「トラウマ」があるかもしれないとの
視点は忘れてはならないでしょうね。そして専門的になるものの
トラウマ処理では、EMDRなど有効な心理療法が存在します。
また、漢方薬の報告もあったかと思います。
なんにせよ、気づくことが一番大切なのです。
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薬剤師・公認心理師・スクールカウンセラー 廣橋 義和
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