小児のチックには漢方薬と心理教育を

 最近は健康診断の結果について相談を受けることが増えてきました。
「~~に気をつけましょう」って、具体的にはどんなことを注意したらいいのか? 
医師の説明が今ひとつ理解できないので詳しく教えて …など。

 5年後・10年後を見据えて、食事や運動など日常生活上の注意事項を中心に説明
しています。この時は栄養剤やサプリメントを販売するようなことはせずに、相談に
徹するようにしています。ですから、ほとんどが無料の相談になっています。

 さて、時折チックの漢方相談を受けることがあります。チックとは、意思とは無関係
に身体が動いたり声が出たりするもので、複雑なものはトゥレット症候群と呼ばれて
います。小児には珍しくありませんが、大抵は一時的なのであまり心配する必要は無い
と考えます。

 遺伝的要因はありますが、不安や緊張や疲労などが発作要因としては重要で、どの
ような場面で出やすいのかチェックすると、傾向がわかり予防しやすくなります。
一般的に不安や緊張は意識すると増強しやすいので、意識を逸らすようにするのが
効果的です(習慣反転療法などと呼ばれています)。ただ、小児が意識的に意識を
逸らすことは難しいので、家族がその手伝いをするのです(これらも含めて心理教育
です)。

 必要であれば、漢方薬を使用することもあります。考え方として、筋肉の不随意な
動きを「陽」とし、陽を制御する働きを「陰」とみなします。自動車に例えれば、陽は
アクセルに、陰はブレーキに相当します。ですから、アクセルを弱める方法とブレーキ
を強める方法の2通りがあります。

 どちらがいいのかは、体質を把握しないとわかりませんので、相談は東洋医学に
詳しい医師・薬剤師にお尋ねください。私の経験では、陰を強化する漢方薬を使用
したケースが多い印象です。


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