ガンの免疫療法と腸内細菌叢

 私たちは大便を軽視し過ぎているのかもしれません。「出た」
「出なかった」だけに注目しがちですが、その中の構成にもっと
注目したいものです。

 理論だけが先行して実際の効果については疑問符をつけざるを
えなかった過去のガン免疫療法。現在は、手術、抗がん剤治療、
放射線治療、に並ぶがん治療の標準になりました。しかも、末期
状態と判断されても、治癒あるいは大幅に生存期間が延長するなど
驚きのケースも少なくありません。

 一方で、全く効果の上がらないケースも存在するなど、まだまだ
解明すべき点が多いのも現実です。効果の上がらないケースの一つが
腸内細菌叢の乱れです。例えばガン治療中に細菌感染症などがあり、
やむを得ず抗生物質を使用するケースでは、がん免疫療法の効果が
低下します。

 抗生物質の使用により腸内細菌叢が乱れたことが原因として考え
られています。これは抗生物質で免疫系が乱れたという意味よりも
腸内細菌叢が乱れたことによる免疫系の変化です。

 腸内細菌叢は、生活習慣病や精神疾患だけでなく、アレルギー・
免疫疾患にも関与しています。でも私は、腸内細菌叢というよりも
粘膜細菌叢と考えたいのです。腸内細菌叢に大きな影響を与える
口腔内細菌叢、本来は細菌数の少ない小腸で細菌が異常増殖する
SIBO、これらも生活習慣病やアレルギー疾患・免疫疾患と深い
関係があるのです。

 体内で癌細胞が成長して早期がんとして発見されるまで約20年。
この間、私たちの体内では癌細胞と免疫系細胞の攻防が絶えず繰り
広げられているのです。たぶん私の体内でも今現在この攻防は続いて
います。

 その状態を知る手掛かりが、日々の大便にあります。ぜひ、目を
そらさないで、すぐ流してしまわないで、時々チェックしてみて
ください。そして、どんな食事のとき、便の状態が良さそうか、
逆に悪そうか、振り返ってみると大きな気づきが得られるのでは
ないかと思うのです。

 コロナ禍で体温測定はルーチン化されています。大便観察も是非
ルーチンワークとして実施されることを提案します。


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カテゴリー: ガン・腫瘍, 胃と腸・食道・肝臓・膵臓, 食事と栄養・運動・リハビリ タグ: , , パーマリンク

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