「シンプル イズ ベスト」
私の漢方の恩師、寺師睦宗先生がよく話していたフレーズです。
できるだけ簡略化して考えることはとても重要です。しかし、
簡略化し過ぎて理論と現実が離れてしまっては元も子もありません。
その例として「冷え症」をとりあげます。
いろんなところで「冷えには○○がいい」と言われます。
例えば、ショウガ。テレビで、雑誌で、スーパーで、、、、。
確かにショウガは温めますが、どこを温めているのでしょう。
そして、最終的に冷え症は解消されているのでしょうか。。。
大きな過ちは、身体を一つの塊と単純化し過ぎたことにあると
私は考えています。
そこで「ゆで卵モデル」の提案です。内臓など身体の中心部を
黄身に、皮膚や手足などの末梢組織を白身に例えます。
このモデルでは、ショウガは白身を温めます。その熱源は黄身で
黄身の温かさを血流で白身に運ぶことで「手足が温かい」と
感じます。
白身に相当する末梢組織では、保温がしっかりできてないと
どんどん放熱します。「身体の温かさ」は、血流によって黄身
から白身に移動し、最終的には体外へ放出されます。
よって、同時に黄身を温めないと体温は低下していきます。
つまり、更に冷えます。
ただ通常は、筋肉や内臓の運動による基礎代謝があり、飲食に
よって発生する食熱もあり、どんどん冷えていくということは
ありません。でも、どこを温めているのか? と考えなければ
温めるつもりが、逆に冷やすことになると知っておいてほしい
のです。
実は、東洋医学ではショウガを加工した乾姜(カンキョウ)も
あります。この乾姜は身体の中心部を温めるのです。
末梢を温める成分ジンゲロールが加工によって減り、中心部を
温めるショウガオールが増えてくるのです。
ゆで卵モデルで考えると、発熱時に使用する葛根湯にジンゲ
ロールが豊富な生姜(ショウキョウ)を用い、基礎代謝も衰え
芯から冷えている場合に用いる四逆湯にはショウガオールの
多い乾姜が使われることが理解できます。
本題に戻ります。
冷え症を考えるときは、冷えの部位をゆで卵に当てはめて、
より適切に対応することをおススメします。
ちなみに、白身だけが冷えているタイプ、白身も黄身も冷えて
いるタイプ、黄身が極端に冷えているタイプ、黄身は温かいのに
白身が冷えているタイプ、など様々なタイプがあります。
それぞれ対応は異なりますので、上手く改善しない場合は
専門家にお声掛けください。
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薬剤師・心理カウンセラー(公認心理師) 廣橋 義和
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