インフルエンザ流行シーズンに本格的突入です。マスコミでは新しい抗インフルエンザウィルス薬「ゾフルーザ」の話題が多い印象を受けます。医療用医薬品の宣伝活動は禁止されているのですが、マスコミが番組の中で取り上げるのは問題ない(たぶん?)とは言え、天邪鬼の私は裏で製薬メーカーが動いているのでは?などと勘ぐってしまいます。
感染症に対する免疫力が低下している高齢者や乳幼児、あるいは糖尿病などの持病がある人、等々のハイリスク群に入らないほとんどの人では、抗インフルエンザウィルス薬は治癒までの日数を1日程度短縮するとされています。新薬「ゾフルーザ」は、もう少し早いのかもしれませんが、そこにどれだけの意味があるのかを今一度考えてみる必要があるように思います。
新薬は未知の副作用を秘めており流行商品のような使用は慎むべきと思うのです。確かに今までの抗インフルエンザウィルス薬とは作用店が異なり治癒までの日数短縮が期待できます。しかし、今までの抗インフルエンザウィルス薬でも十分に効果があるわけです。敢えて、薬価が高く未知の副作用を秘めている新薬を流行商品のように扱うことに違和感を覚えます。
それはさておき、どんなに医学が進歩しても、優れた抗生物質や抗ウィルス薬をしようしても、治りが遅い人たちが存在します。治る人と治らない人との違いは何なのでしょうか?今までの経験や知識を総合的に分析してみると、一つ目は平常時の体温であり、二つ目は栄養バランスであり、三つ目には生活リズムが重要だと感じています。
平常時の体温が36℃未満では元々の代謝が悪く、それがいわゆる回復までの時間を延ばしていると考えます。東洋医学的には三陰病に属すると思われ、高齢者や女性に多いパターンです。栄養バランスの悪さは代謝にも影響しますし、回復に必要な生体反応が不十分なため治りが遅くなると考えます。三大栄養素としてのたんぱく質は重要ですが、生体反応に必要なビタミン・ミネラルが現代の食生活では不十分なのではないかと思われます。そして、身体は睡眠・休息している時に傷んだ組織を修復しますが、現代の多忙な生活リズムはそれを許さない状況を使っています。
せっかく薬価の高い新薬を使っても、回復が不十分なら、仕事上でも勉強でも本来のパフォーマンスが発揮できずに終わるのなら、あまりにももったいないと言わざるを得ません。自身の努力で、改められる点と改められない点とあるでしょうが、改められる点について少しでも工夫してみてはいかがでしょうか。「治りにくいなぁ」と思われている人は、自身の回復力が高まらない要因を分析してみませんか。
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廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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