女優の蒼井優さんと結婚したお笑い芸人の山里亮太さんの報道を見ていて、思い
出したメモがあります。
「母ちゃんは、信じられないところから褒め言葉を持ってくる。」
朝日新聞の折々のことばで臨床哲学者の鷲田清一さんが紹介していました。
学校の先生から「すぐ噓をつく」と言われれば「すぐに言葉が出て偉いねぇ」と、
叱られれば「反省している感じがよく出ている」と。物事にはネガティブな部分と
ポジティブな部分の両方があるもので、親としてはポジティブな部分で子供を包み込
んであげたいものです(「言うは易く行うは難し」ですが・・・)。
つい最近、ひきこもりの中年が絡んだ2件の事件がありました。どちらも非常に
ショッキングな事件で、「ひきこもり=問題」という図式が一般的です。問題でない
とは言いませんが、山里亮太さんのお母さんみたいに、とんでもない見方・褒め方を
今まで誰かにされたのか?と考えてしまうのです。
その見方・褒め方は、ひきこもりの当人だけでなく、家族にも向けられていたなら
どうだったでしょう。褒められて不愉快になる人はほとんどないと思います。その
結果、硬直していた状況が動き出すかもしれません。
私の手元に「激論!ひきこもり(ポット出版)」があります。ひきこもり業界では
超有名な斎藤環さんと工藤定次さんの対談を書籍としたものです。斎藤環さんは、
家族療法の視点からアプローチしてますし、工藤定次さんは共同生活というやり方で、
方法論は違うものの思いは一緒のように感じます。
それは、「親の真剣さがひきこもりの将来を左右する」というものです。専門家に
任せてお仕舞いでは、何も変わらないと言います。「誰が問題か」という視点では、
犯人捜しに終始し、「犯人が見つかれば問題解決」となりがちです。強いて問題点を
挙げれば、それまでの家族の関係性にこそ問題があったと言うべきなので、介入
ポイントはその関係性にあります。
斎藤環さんは家族療法で、工藤定次さんは共同生活で、その関係性に変化を生じ
させて、ひきこもりに対処しているのです。社会としては、ひきこもりの家族を孤立
させるのではなく、社会的な関わりの中で家族関係を変化させればいいと思うのです。
まずは、ひきこもりの当人とその家族に対して、自分でも信じられないような
見方をしてみませんか?
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長岡の相談薬局・ひろはし薬局
薬剤師・心理カウンセラー 廣橋 義和
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