適応障害を抱えている深田恭子さんへ

 しばらく前から老眼を自覚するようになりました。耳も徐々に遠くなり、
聞き返すこともあります。いわゆる老化現象というものです。ただ、老眼
には老眼鏡がありますし、聴力だってイザとなれば補聴器を使えば大丈夫
なわけです。もちろん、若い頃と比べ不自由を感じることもありますが、
例えば「老化障害」と表現されたら、大きな違和感を覚えます。

 同じように「発達障害」「適応障害」という表現にも違和感を覚えて
います。以前から「発達障害」については「発達特性」と言い換えていま
した。近頃は「適応障害」の「障害」の部分に引っかかっているのです。

 10年ほど前に「新型うつ病」という表現をあちこちで耳にしました。
適応障害は新型うつ病に近い概念です。健常ではないけれども、病気とも
言い切れない、そんなグレーな領域です。ただ、放っておけば(今までと
同じ生活を続ければ)、うつ病などの精神疾患を発症する可能性が高い
状態なので、しばらく休養するという選択肢は非常に効果的に働きます。

 なぜ休養することが効果的なのでしょうか? 適応障害は、今の環境
(学校や職場、近所づきあい、PTA活動など)に上手く順応できて
いないというサインが表面化したものです。上手く順応できていないと
いっても、多くは無理して順応しているので、見た目はほとんど気づき
ません。

 私の想像ですが、深田恭子さんも相当無理を重ねて順応してきたのでは
ないでしょうか。いろいろな所に気を使い、多少の疲れなどは我慢して
自分を抑えていたのだと思います。若さというのは、この疲れをある程度
吸収するので、無理をしているという実感も乏しかったでしょう。
そういう点で、休養はとても良い選択だと言えます。

 休養しながら、回復そして再発防止に役立つ治療を行います。場合により
抗うつ薬などの薬物治療が必要になるかもしれませんが、適応障害はあち
こちに気配りをする(し過ぎる)結果として表面化しますから、自分を
大切にしながら気配りするというスキルを新たに身につけることが肝要
です。

 適応障害は、自分を抑えて周囲に気配りし過ぎた結果の不調と言えます
から、この不調に障害と名付けると本質を見誤るのではないか思います。
気配りは障害などではなく、優れた特性です。この特性が空回りした結果、
体調を一時的に崩したのだから、まずは休養して落ち着いた段階で、自分を
大切にして適切に気配りできるようにするのが治療の本質です。

 具体的には、アサーションや対人関係療法などの心理療法でコミュニケー
ション・スキルを向上させるのがベストだろうと考えます。

 深田恭子さん、まずはゆっくりと(自分を責めることなく)休んで
心身の疲れを回復させてください。応援しています。



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