「子宮内膜症」カスケードという考え方

 私は病気などの相談を受けると、現在の困っている症状や
悩み事の解消法を考えるだけでなく、過去の出来事や日頃の
クセなどと病気の関連性も考えています。

 そして、相談が上手くいっても、上手く行かなくても、
相談者の5年後、10年後、と続く将来の姿も想像して、
できるだけ良い状況となるような提案を心掛けています。

 「子宮内膜症」であれば、社会的には晩婚化や晩産化が
子宮内膜症の増加や悪化につながるとされますが、漢方の
立場からは瘀血や血虚や冷えなどが関連してきます。

 したがって、いわゆる体質改善の漢方薬として、瘀血を
改善する駆瘀血薬、血虚を改善する補血薬、冷えを改善する
温裏補陽薬、などで症状の解消を図ります。

 時間の流れにある「子宮内膜症」が、流れた先には何が
現れるかというと、不妊症や卵巣がん、心臓病や脳卒中など
の血管の病気、等が現れてくるのです。

 このように一つの病気にも、その背景には増加や重症化の
原因があり、将来の重大な病気につながるリスクを秘めて
いるとする見方を「カスケード」と呼んでいます。

 「子宮内膜症カスケード」に従い、生理痛や月経困難症の
相談に乗ることは、相談者の卵巣がんリスクを下げることに
なるだろうと願いながら、例えば漢方薬を提案しています。

 普段、そこまで詳しい説明は行いませんが、話の流れで触れたり
セミナーのテーマにすることで知ってもらえたらと思います。
目の前の相談者に、今何が起きているのかと同時に、どんな
流れに乗っているのか、も考えながら提案やアドバイスを
している姿を想像していただけたら幸いです。


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     薬剤師・心理カウンセラー(公認心理師)  廣橋 義和

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