「膝の痛み」には、何がいいのか?

 湿度の高いこの季節、慢性痛を抱えている人には、とても辛い
時季かと思います。それこそワラにもすがる思いでサプリメントの
ヒアルロン酸やコンドロイチンなどを飲んでいる人もいるでしょう。

 ある調査によると、40歳以上の日本人の約半数は「膝の痛み」で
悩んでいるとされます。痛みに対して、一般的に使用されるのが
鎮痛薬ですが、医師からの処方薬でも満足度は4割程度との結果
でした。(インターネットによるアンケート調査)

 不満足の内容は、「期待していた鎮痛効果が得られなかった」、
「これ以上痛みは軽減しないと思う」、「相談しても治療を変え
なさそう」とあり、これらの方たちはサプリメントや漢方薬、
または整骨院や整体などに流れることになるのでしょう。

 コンドロイチンやグルコサミンやヒアルロン酸など軟骨に
多く含まれる成分は、直接注射などで入れない限り、飲んでも
効果は期待できません。多くの人はすり減った軟骨が回復する
ことを期待していると思われますが、軟骨が増加したという
データは、ほとんどありません。

 その一方で、痛みが軽減したという結果があるのも事実です。
軽減しなかったデータもあるのですが、痛みが軽減した理由は
軟骨ではなく、膝関節周囲の腱や筋肉や筋膜などの組織の
柔軟性が高まったことではないかと推測しています。
膝の軟骨には効かないけれど、膝周囲の組織に効いているという
結論(仮説)です。

 寄り道をしました。膝の痛みは、膝の組織そのものが損傷し
炎症を起こしているだけではないので、痛み止めの効果が限定的
なのだと考えられています。そこで、炎症以外の原因として
痛みのブレーキ機能(下行疼痛抑制系といいます)の低下が
生じているともされます。

 このブレーキ機能には、脳内のセロトニンやノルアドレナリン
という物質が関係しているとされ、これらに作用する抗うつ薬が
慢性痛に使用されることがあります。薬の代わりに認知行動療法
などの心理療法を行うこともあります。

 大切なのは、慢性の痛みでは「炎症」以外の原因が関係して
いるということです。なので、いわゆる鎮痛薬の効果に限界が
生じるわけです。

 また、「膝に水が溜まる」こともあります。炎症に伴って
溜まる水は鎮痛薬で対応できます。一方、炎症を伴わない、
すなわち東洋医学的には「冷え」が関係する水もあります。
この場合は、温める漢方薬が必要になります。

 他にも、「カキ、コキ」と膝を曲げたり伸ばしたりする際、
膝が鳴る場合もあります。機械類なら潤滑油を注したい状況で、
漢方薬の補血薬や駆瘀血薬が効果的です。
 さらに、ストレスや自律神経バランスの影響を受けている
こともあり、どれも痛みの慢性化に関わっています。

 このように「膝の痛み」といっても多彩な背景があります。
「痛みがあるから鎮痛薬」という単純な発想では、炎症に伴う
痛みだけは鎮めることができても、慢性に経過し複雑化した
痛みには効果が限定的なのです。

 次の選択肢を考える際に、多少とも参考になれば幸いです。
選択肢に悩んだら、是非お声掛けください。



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