幻肢痛という「やまい」があります。事故や病気で失った
手足が痛むものです。信じられないかもしれませんが、痛みの
複雑さを示す一つの現象で、無いはずの手足が痛むのですから
当然いわゆる痛み止めは全く効きません。
一般的に使用されるアスピリンやロキソプロフェンなどの
痛み止めは、組織の炎症による反応を抑えることで鎮痛効果を
発揮します。ケガや病気などによる急激な痛みは、炎症を伴う
のでアスピリンやロキソプロフェンが効いてくれるのです。
急性期の痛みは炎症が中心になるものの、冒頭の幻肢痛や
慢性の痛みになると、別の痛みシステムが働いているために
いわゆる痛み止めは全く効果を示しません。もし、多少でも
効いている感じがある場合は、炎症を抑える作用とは違った
複数のメカニズムが働いていると思われます。
私達は痛みを最終的に脳で感じるので、組織-神経-脳という
ルートのどこかで異常があれば、痛みを感じることになります。
組織では、炎症という異常があるので炎症を抑えると痛みが
なくなります。
神経の異常に関しては、神経障害性疼痛という病名があり
リリカやタリージェという薬が使用されています。脳では、
抗うつ薬やてんかんの治療薬が使用されますが、セロトニン
などの神経伝達物質への作用を狙っており、うつ病やてんかん
とは無関係です。
ただ、認知行動療法などの心理療法やカウンセリングも
用いられており、神経伝達物質ではなく「破局化思考」など
の考え方・捉え方に働きかけます。程度に差はありますが、
慢性痛では破局化思考が関係するケースを多く経験します。
また、痛みの強さを軽くする疼痛抑制系というシステムも
あります。ここにもセロトニンなどの神経伝達物質が関係し、
抗うつ薬などが使用されています。
ですから、炎症が中心の急性痛と、炎症以外のシステムも
関係する慢性痛では、同じ痛みでも使用する薬が異なるわけ
です。
そして、私の経験では東洋医学的な視点からとなりますが、
冷え(内寒)、血流障害(瘀血)、局所的な浮腫み(水滞)、
なども慢性痛の原因になってます。
ほかにも、筋膜リリースなどの技術で改善する痛みがあり、
筋肉や筋膜などの癒着など滑走性の問題も慢性痛の原因として
挙げられます。
とにかく慢性痛では、いろいろな状態が重なっており、
単純に痛み止めを使っても効果が期待できないのです。
いくつかの薬を使用しつつ、漢方薬やカウンセリング、
リハビリ体操などを適切に組み合わせることが痛みを早く
鎮めることにつながると考えます。
単純に「痛みに○○」みたいな、安易なメッセージには
注意が必要です。痛みのメカニズムや複雑さを考えたら
そのような表現は安易に使えないと思っています。
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薬剤師・心理カウンセラー(公認心理師) 廣橋 義和
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